日本の7:00、イスタンブールの1:00頃に、イスタンブール空港に到着。飛行機から空港までバスで移動して、空港のエスカレーターに乗っている時にあれ?と思って、近くのベンチに一旦荷物を置いてバックパックの中を確認する。ないかも。いつも持ち歩いている緑色のViet Namと刺繍されたポーチがないかも。リップクリームと目薬とイヤホンが入っているから、バックパックから出して座席の前のポケットに入れていた。そのまま忘れてきたかも。体が震える。ポーチの中には車の鍵も入っている。
ちょっと落ち着こうと思い、一旦空港Wifiの接続に挑戦。ターキッシュエアラインズの乗客用フリーWifiがあるらしく、それに接続しようとしたけどなぜかログインできない。振替便のフライトナンバーだから?何回かやってみたけど無理なのでインターネットはあきらめて、とりあえずチケットの行き先を変更してもらうためにターキッシュエアラインズのトランジットカウンターを探すことにした。
入国審査ゲートの横を通り過ぎてちょっと歩いたところにターキッシュエアラインズの大きなカウンターを発見。行列ができた時用に蛇行して置いてあるレーンに沿って無駄にくねくねと歩き、なんとなく優しそうな年配の女性が座っている窓口に進んだ。チケットの経路を変更したいと伝えると、ここじゃできないとのこと。だるそうに右側を指さしているから、多分その隣のカウンターに行けということなのだろう。再度くねくねと歩いて隣のカウンターに移動する。目の前に来た私を一瞥して無言の男性職員。ハローと小声で挨拶し、元はパリ行きでチケットを取っていたがその先で乗り継ぎしてモロッコに行く予定だったこと、飛行機の欠航でその乗り継ぎ便に間に合わないこと、だからパリ行きのチケットをモロッコ行きに変更してほしいことを伝える。まだ無言。お互いにしばらく沈黙した後に、やっと「what is your purpose?」と言ってきたので、もう一回同じ説明をした。私の英語レベルが低すぎて伝わっているのかかなり微妙。怪訝な顔でいろいろと質問され、周りの職員と何か話しているうちに、こいつの乗る予定だった飛行機昨日欠航してるじゃん、と途中で気づいたようだった。彼は「モロッコ行きに変更していいんだな?同意するな?」と何度も確認してから、イスタンブールからモロッコに直接行く便のチケットを出してくれた。後半あまりにもスムーズに事が運んで戸惑う。よくわからないけど手続きが終わったっぽかったので、小声でサンキューと言ってカウンターを離れた。
続いて機内に忘れてきた緑のポーチを取り返すために再びくねくねと歩いて最初のカウンターに戻る。こいつまた来たぞ、という顔をしている女性に忘れ物について尋ねると、Lost and Foundに行けとのこと。なんとなく聞き返せない雰囲気で、よくわからないままオーケーサンキューと言って歩き出してしまった。モロッコ行きの飛行機は11:45発。今はまだ夜中の3時なので、時間はある。Lost and Foundを探して歩きながら、さっきチケットを変更してもらった時にお金を払っていないことに気づいた。チケットと一緒に渡された紙を確認すると「Total: TRY NO ADC」とある。TRYの意味がよく分からないが、無料にしてくれたということなのだろう。そもそも欠航したせいで経路変更が必要になったんだし、航空会社の補償内なのかもしれないけど、無料でチケットを変更してもらったにしては最後のサンキューが弱すぎた。反省。
ターキッシュエアラインズの看板がついているカウンターを見つけて、忘れ物をしたと伝えると、ここからLost and Foundまでの行き方が印刷された紙をくれた。
ヒントが少なすぎて不安だったけど、この通りに歩いて行ったら本当にスターバックスの横にBIG EXIT DOORがあってうけた。どうやらLost and Foundに行くには一度入国しないといけないらしい。Passport controlにたどり着き、入国審査官のポリスに「忘れ物をしたのでLost and Foundに行きたい」と伝えると、意外とすんなりトルコに入れてくれた。スーツケースが流れてくるベルトコンベアの横に、Lost & Foundを発見!中に入るとすでに何人か忘れ物を探す人達がいて、少し待ってからカウンターの男性に話しかけた。「君が乗っていた飛行機はまだ清掃が入っていなくて、あと3時間くらいしないと飛行機が開かない。飛行機が開いたらmy friendsが君のポーチを探しに行くから、3時間経ったらまた来て」とのこと。「3時間もここで待つのは大変だから、もう一度出国して、時間になったらまた来たらいいよ」と言って、おそらく出入国審査官に向けた手紙(?)のようなメモを手渡してくれた。よすぎる。
せっかくトルコに入国したし、と思って空港の外に出てみる。深夜4時のイスタンブールは寒かった。1つ下の階の出口に並んでいるタクシーの列がかわいい。しばらく辺りを眺めて、出てきたドアに戻ると出口専用だったらしく封鎖されていた。ドアの横に立っていたポリスにちょっとビビりながら、入り口用のドアまで歩いて空港内に戻った。
出国し、3時間のんびりして、再度Lost & Foundに向かう。Passport controlで私のパスポートを見て怪訝な顔のポリス。3時間のうちに2回目の入国をしようとしている外国人はもちろん怪しい。Lost & Foundで貰ったメモを出してみたけど残念ながら役に立たず、通してもらえなかった。「3番に行け」とのこと。指さしていた方に行ってみると、1枚壁を隔てたところに“2”と書かれたPassport controlがあった。3はないけど並び的におそらく2の隣だろう。しかし、3番への入り口は通れないようにポールで封鎖されている。どうしようと思っていると、一人の男性が封鎖しているポールの横をすり抜けて3番に入っていった。その真似をして、私も後ろを続く。さっきのPassport controlはほとんどが女性のポリスだったけど、こっちは全員男性。さらに後ろにもう一人追加でポリスが立っている。強そう。君こっちじゃないよという反応をするポリス達に「3番に行けと言われた」と伝えるとパスポートを確認し始めたのでLost & Foundに行きたいことを説明した。「OKユキカ、そしたら君はまずターキッシュエアラインズのカウンターに行ってフォトコピーをもらってからまたここに来い」とのこと。私がフォトコピーがなんなのか理解できないでいると、他の人のフォトコピーを見本に見せてくれた。パスポートと航空券を並べてコピーしてあるA4の紙。この雑な白黒印刷が何の役に立つのだろうと思いながら、フォトコピーをゲットするために再びターキッシュエアラインズのカウンターに向かう。
フォトコピーはかなりスムーズにゲットでき、再び3番のカウンターに戻ると、さっき対応してくれたポリスが後ろに立っていたポリスに羽交い締めにされていた。後ろに立っているポリスが多分先輩なのだろう。高校生のようなノリ。「こいつはbadだからこっち」と先輩ポリスが3番のポリスを取り押さえて笑いながら隣を指したので、2番のカウンターに進んだ。手続き中も話し続ける超フレンドリーな先輩ポリス。「2番のポリスのお母さんは日本人なんだよ、こっちのポリスのお母さんは中国人、あ、日本人は中国人嫌いか、トルコ人は好き?、ところで日本で有名なトルコの歌手知ってる?」話しているうちに無事に入国のスタンプを捺してもらうことができた。すると、ちょっと1分だけ、と言ってカウンターから下りてくる先輩ポリス。スマホを取り出し、日本で有名なはずのトルコ人歌手の動画を見せてくれる。まったく誰だか分からない。そのまま3分くらい謎に立ち話をして、最終的にグータッチをして先輩ポリスと別れた。変な汗かいた。
Lost & Foundは混んでいた。3時間前にメモをくれた男性の姿はなく、代わりに歯科矯正のワイヤーをつけた若い女性が一人で対応している。カウンターの席に深く腰を掛けて明らかにイライラしているおじさんは機内にPCを忘れてきたらしく、そしてどうやらそれが見つからないようだった。盗まれたのかもしれないからこうなったら警察に行くしかないと言う女性に対し、いやあるはずだ、ちゃんと探してくれと何度も繰り返すおじさん。カウンターから少し離れたベンチに座って、しばらく様子を見ることにした。この人の対応が終わったら話しかけようと思って待っていると他の人が横から話しかけてそっちの対応をしはじめるといった感じで、忘れ物を取り返すには、横から割り込んで話しかける勇気が必要だった。でも急いでないし、グイグイ話しかけられる英語力も勇気もない。一歩を踏み出せずにそのままベンチで待ち続けていると、カウンターの奥からもう一人職員の人が出てきた。チャンス!ポーチは何色?と聞かれたのでグリーンと答えると、「みどり」と日本語が返ってきた。グレイト!と褒めたら、他にも知っている日本語を次々と披露してくれる。すごい。カウンターの奥に入ってしばらくして出てきた彼の手には、私の緑のポーチがあった。まじか!見つかるんだ。飛行機に忘れ物したら終わりだと思っていた。達成感がすごい。本当にサンキューベリーマッチ
無事にポーチを取り返し、再びPassport controlで苦戦するも無事に出国し、あとはモロッコ行きの飛行機を待つのみ。ちょっとご飯でも食べようかなと思ってバーガーキングのタッチパネルでメニューを見てみたら、ハンバーガーのセットが4000円以上した。無理すぎる。四ツ谷の薬局で買ってからバックパックの底で眠っていた魚肉ソーセージを食べて、ベンチで横になって飛行機を待っていたら、モロッコで合流する予定だったユナさんと同じ飛行機だということが判明。搭乗前に会えてかなり安心だった。
飛行機の中でノマドランドを観る。途中で有線イヤホンを持っていることを思い出し、機内で配られるイヤホンと代えたら音が変わりすぎてびっくり。ここまで観ていたのはノマドランドじゃなかった。着陸直前で空席をはさんで隣の人が吐き始めた。やたらこっちまで足を伸ばしてリラックスしているなと思っていたけど、体調悪かったんかい。かわいそうに。着陸態勢に入っていてどうしようもないので、もらいゲロしないようにできるだけ匂いを嗅がないようにしながら着陸。シートベルトを外してからCAさんを呼んだけど、吐いている人への対応が冷たすぎて意外だった。15:30モロッコ・マラケシュに到着!やったー!
小林さんとエリックさんとエリックさんの子供が車で迎えに来てくれた。エリックさん/Eric Van Hoveはモロッコ在住のアーティストで、小林さんの友達。今夜はエリックのアトリエに一泊させてもらうことになっている。車に荷物を詰め込み、キャパオーバーで私の白いスーツケースは車の上の荷台に乗せられて、アトリエに向けて出発した。赤土色の建物で統一された町並み、自動車に混ざって走る馬車、なにもない広大な空き地、素敵すぎるエリックのアトリエ、アトリエの前にずっと繋がれている誰かの馬、歩いて行けるところにあるローカル市場、荷台満杯にピカピカのオレンジが積まれたトラック、でっかい牛の肉の塊が吊るしてある肉屋、八百屋に並ぶピカピカの野菜、店先の机に山積みになっている平たくて丸いパン、そこら中にいる猫
市場で買い物をして、アトリエまでの帰り道でやっていたフリーマーケットを見た。地元の人達の反応からして、この場所にアジア人がいるのはかなり珍しそう。陶器を売っている店があり、かわいいコップの値段を聞くと5DH(ディルハム)とのこと。両替アプリに5DHと入力すると76円と出た。びっくりして、皆でコップを二個ずつ買った。アトリエに向かって歩いていると、地元のギャル三人組が近づいてきた。一緒に写真を撮ってほしい、とのこと。よろこんで写真を撮ったらそこからつかまってしまい、言葉が全然通じないまま体感30分くらい立ち話をした。日本における英語のポジションが、モロッコではフランス語らしい。ほとんど意思疎通できないままバイバイした。買ってきた肉と野菜でタジンを作る。平たくて丸いパンはフライパンで温めたら少し柔らかくなって美味しい。こういう小麦の塊って感じのパン大好き。




